新しい取り組みが、いつも既存の物差しで潰される。測り方を分けるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 新規の取り組みを任されている
- 既存KPIとの板挟みにある
- 事業の転換を考える立場
−おすすめしない人
- 個別の商談技術が欲しい
- 小規模組織の運営に直接使いたい
著者について
チャールズ・A・オライリー・マイケル・L・タッシュマン
スタンフォード大学経営大学院 教授 / ハーバード・ビジネス・スクール 教授
- 経歴
- ともに組織と技術革新を研究してきた
- 実績
- 既存事業の深化と新規事業の探索を両立させた企業の条件を研究した
目的
新しい商材を任された。半年で既存商材と同じKPIを求められ、数字が出ないまま縮小になった。
商材が悪いのではなく、既存の物差しで測られた。本書を読む目的は、深化と探索を分けて扱う考え方を持つことにある。
論点1 求められる動きが正反対
深化はムダを削り、失敗を減らし、計画どおりに実行する。探索はムダを許し、失敗の数を増やし、計画を途中で変える。
- 深化 … 効率が正義
- 探索 … 学習が正義
同じ基準で評価すると探索が死ぬ。新規チームを既存のKPIで測った瞬間、既存の仕事に戻っていく。
いちこ
新規でも数字は必要ですよね。
シュン
必要だよ。ただ見る数字が違うんだ。売上じゃなくて「何が分かったか」で測る期間があるんだよ。
論点2 うまくいっている組織ほど、切り替えが遅れる
既存事業が好調だと資源はそちらに寄り、新しい芽が育たない。好調が続くほど、この輪は強くなる。
危機が見えてから始めても、育てる時間が残っていない。イノベーションのジレンマ が描いた構図を、組織の側から扱った本になる。
論点3 現場は分け、経営層でつなぐ
本書の処方は、分けることと繋ぐことの両方だ。現場は別の基準で動かし、経営層で資源配分と守る約束を決める。
完全に切り離すと、資源も知見も流れなくなる。出島を作って放置した取り組みが続かないのはここが理由になる。
いちこ
分けるだけではダメなんですね。
シュン
分けただけだと孤立するんだ。上で守る人がいて初めて、別の基準が守られるんだよ。
この本の限界と、次に読む本
大企業の事例が前提で、資源の規模がそのまま使える組織は少ない。考え方を自社の規模に翻訳して読む必要がある。破壊の構図なら イノベーションのジレンマ、長期で積み上げる話なら ビジョナリー・カンパニー2 が隣に並ぶ。
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事業の転換点のほかの本
- イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン
- ビジョナリー・カンパニー2 ジム・コリンズ
- キャズム ジェフリー・ムーア
- 新規事業の実践論 麻生要一