検定の2つの過誤と検出力
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この記事で扱う統計知識
検定の2つの過誤と検出力とは ― 営業マネジャーのための「2種類の間違え方」
1. この記事で学べること
ポイント
・判断の間違いには2種類あると知る ・「見逃し」と「早とちり」を区別できる ・検出力とサンプル数の関係がわかる
2. エピローグ
家の火災報知器が、料理の湯気で鳴った。
火事でもないのに鳴る。
うるさいが、まあ安全側の間違いだ。
もし逆に、本当に火が出ているのに鳴らなかったら、それは取り返しのつかない間違いになる。
同じ「間違い」でも、向きが2つある。
鳴らなくていいのに鳴る(誤報)と、鳴るべきなのに鳴らない(見逃し)。
いちこ
シュン
メールの迷惑判定でも同じことが起きる。
ふつうのメールが迷惑フォルダに入ってしまうと、大事な連絡を見落とす。
逆に、迷惑メールが受信箱をすり抜けることもある。
フィルタを厳しくすれば迷惑は減るが、ふつうのメールまで弾いてしまう。
ゆるくすれば取りこぼしは減るが、迷惑がすり抜ける。
いちこ
シュン
火災報知器の誤報と見逃し。 メールフィルタの弾きすぎとすり抜け。
この「2種類の間違い」を、統計では第1種の過誤・第2種の過誤と呼ぶ。
3. 第1種の過誤・第2種の過誤・検出力とは何か
検定では、まず「差がない・効果がない」という帰無仮説を置き、それを棄却できるかを調べる。
検定の進め方そのものは仮説検定を先に読むと、ここがつながる。
このとき、判断を2通りに間違えうる。
- 第1種の過誤(α)… 本当は差がないのに「差あり」としてしまう(=早とちり・誤報)
- 第2種の過誤(β)… 本当は差があるのに「差なし」としてしまう(=見逃し)
そして、本当に差があるとき、それを正しく「差あり」と検出できる確率を検出力と呼ぶ。
検出力 = 1 − β。見逃しの裏返しだ。
第1種の過誤の上限を決めているのが有意水準(ふつう5%)だ。
ポイント
第1種=差がないのに「あり」。 第2種=差があるのに「なし」。 検出力=差を見抜ける力(1−β)。
4. 図で見る
営業で、新しいトークスクリプトの効果を検定する場面を考える。
- 効果がないのに「効果あり」と判断 → 第1種の過誤。全社展開して工数を無駄にする。
- 効果があるのに「効果なし」と判断 → 第2種の過誤。使えるスクリプトを見送る機会損失。
αを小さくしよう(慎重に)とすると、βは大きくなりやすい。両者はトレードオフの関係にある。
では見逃し(β)を減らして検出力を上げるには、どうするか。いちばん素直なのはサンプル数を増やすことだ。
- サンプルが少ないと検出力が低く、本当の効果も見逃しやすい。
- nを増やすほど検出力は上がり、80%あたりが一つの目安になる。
- 「差が出なかった」は「差がない」ではなく、単にnが足りないだけかもしれない。
覚えておきたいのは2つ。
① 2種類の間違いは同時にゼロにできない。どちらの間違いが痛いかで水準を決める。
② 「有意差なし」を結論にする前に、検出力(=十分なnがあったか)を確かめる。
必要な件数の見積もりはサンプルサイズ設計とセットで考える。
注意
・αとβはトレードオフ ・「有意差なし」=「差なし」ではない ・nが小さいと見逃しやすい
5. 計算式
シュン
いちこ
2種類の過誤と検出力の定義
- : 第1種の過誤の確率(有意水準で上限を決める)
- : 第2種の過誤の確率
- : 検出力。大きいほど本当の差を見抜ける
検出力は、効果の大きさ・ばらつき・サンプル数nで決まる。nを増やすほど大きくなる。
生成AIに渡せば10秒で計算できる。手計算は不要。
6. まとめ
まとめ
・間違いは第1種(早とちり)と第2種(見逃し)の2つ ・検出力=1−βで、nを増やすと上がる ・「有意差なし」を結論にする前に検出力を確認
検定の全体像は仮説検定、判断基準は
いちこ
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